月に手を伸ばせ

アートとバイク。思ったことを何処かに残したい。

私とエレカシ#35

今をかきならせツアーを見に行ったあと、
エレカシを聴くといつもの500倍くらいのパワーで頑張りはじめた。
毎日繰り返す、短編の作成、公募に応募、映像作品の大会にも取り組んでいた。
学校の軽音部にもすぐに誘われた。
まぁとにかく何でもやろうって気持ちとパワーにあふれていたのですぐ誘いに乗った。
市内のライブハウスで出演をしはじめた。

部活で組んだバンドで、少しずつライブハウスでの出演機会が増え、
小説も小さな賞をいくつかとっていた。

自分が夢へと進むことがこんなにも楽しいだなんて思わなかった。
勿論バイトだってうまくいって、後輩(といっても大学生)に少し仕事を説明したりして頼られてる実感があった。

 

 

地元のダンナ

地元のダンナ

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ボクはひとりで連日連夜いろんなものと戦ってゐる。
世界や日本の歴史や、最近じゃあ自分の歴史とも。

気持ちには楽しさと、若き日はあまりないと思う焦りとが混在した。
自分の歴史はこの10代の努力日々にほとんどが集約されていると感じていた。
一秒も無駄にしたくなかった。
余計な感情を入れるよりも動いていたかった。
それなりに結果を出して、それなりに成果が出ていることに喜びを感じ始めた。

元からのバンドもかなりうまくいっていた。
月に1度は何かしらのイベントに出ていたし、それなりに客も入っていた。
ただ、動員できる客の半数くらいが学校のバンドの客たちだったし、それがいけなかった。
極めつけにちっさな音楽事務所に私と元部長がスカウトを受けた。結局断られたけど。

そのせいでマーシーが変わった。
手当たり次第、とりあえず目につく女の子と遊んでみたり、日に何度も電話をかけてみたり。
そのうち落ち着くだろうと思って放っておいたけど、ますますひどくなるばかりだった。

 

ある日のことだった。
「俺のことはもう見えてないのか、俺のことはどうでもいいのか、なんで一人で進むんだ、なんで遠くに行くんだ」
マーシーは最近たまにするものすごく暗い顔を向けていう。
「久しぶりのデートなのに、そんな難しいこというなよ、な?ほら、今日はどこ行く?」
そういっておどけて見せる。
「俺はお前のなんなんだよ…」
そういって私を跳ね除ける。
手を挙げられたのは後にも先にもこの時だけだったが、急に、胸が痛くなる。
「それってどういう意味?」
そう尋ねる。
「お前のこと好きでいたいけど、どうしても、自分と比べてしまう。お前は高校に入ってから変わっちまった。」
そういって座り込む。
「お前が思ってるような大きな人間に俺はなれねえ。お前のこと知ってても俺は支えられねぇ。お前を支えるほかの人間と比べちまう。俺は、なんて小さい人間なんだって思う。なのにお前は俺に怒りもせずに俺に変わらず優しいし…」
そこまで言ってマーシーはため息をつく。
「もう、むりだよ俺ら、俺がお前をこれ以上傷つけちまう前に、別れよう」
そういって私を見上げる。
「そうか…ごめんね。分かった。」
私はできるだけ傷つけないように言う。
「お前は、何も言ってくれないんだな」
マーシーは悲しそうに言う。
「浮気したことだって、ただお前に嫉妬してることだって、お前を殴っちまったことだってせめていいんだぞ」
そういって力なく笑う。
「君が選んだなら、私は君の道を応援する。君が苦しいことならしない。」
そういって笑う。
「私がつらかったとき、私は一人で頑張ったんだよ、ごめんね目立って、スカウトなんかうれしくない、あなたの声を支えるのが楽しかった。一緒にいてほしい。あなたに属する私でいいからあなたの特別でいさせてよ。」
そんなこと言えなかった。

素直に、素直に生きられりゃあ、どんなにいいだろう?

まだお互い好きだってわかってた。
だからバンドはやめられなかった。
夢を追うのは何かを捨てる事なのか、私の夢はほかの誰とも見れない夢なのか、なにがマーシーをそうしてしまったのか。
いろんな疑問が浮かんだけど。
母にも嫌われた根底がそこにある気がしてならなかった。
夏休みの空白が、私を不安にさせた。

それでも若き日は短いし、私には夢があるし、立ち止まることは出来なかった。

ああ 歴史上ではなんてちっぽけな生涯生涯。
ああ でも世界中でたったひとつだけの人生人生。
ああ 運命が俺をかりたててゐる。
ああ まだまだ行かなきゃならないんだ。
行かなきゃあ、行かなきゃならない。