月に手を伸ばせ

アートとバイク。思ったことを何処かに残したい。

私とエレカシ#24

母がふらっと自宅に帰還した。

妹は泣いて喜び、弟も喜んでいた。

離れていても、円になる特性を持った集合体のようで、家族ってこんなものかとおもった。

母は、私だけを無視した。

家族で出かける中私は入っていなかった。

妹の学校の準備も

弟の幼稚園の送り迎えも

いままで私がやっていたことだ、

だから、母は私を頑なに無視した。

母親というポジションを奪われてはならないと野生がそう言っていたのかもしれない。

妹や弟も次第に私を不良で暴力的な危ない人間として避けるようになった。

精神的に来たのは作った料理を殺す気かもしれないからとごみ捨てにいれられたことだった。

 

徹底的だった。

なんだか気力が抜けてきた。

太陽が眩しいことに吐き気をもよおして、学校で正気を保っているのがやっとだった。

 

毎日毎日カケルに弱音を吐き続けていた。

 

自分は親に養ってもらわなければ生きて行けないのに自分一人で生きてる気になっていた。

何も出来ねぇ。

もう生きていても仕方ない。

 

そういってカケルに独白していく。

 

恋人の肌の温みは傷つけあっているだけだ

そんなもの要らない

愛が欲しい

そう呟く

 

カケルは私に優しくはなかった。

 

「そう思うのに何もしてないのはお前だろ。行動を起こせないならもう話しかけるな。」

そう怒鳴る。

奴隷天国

奴隷天国

 

太陽の下おぼろげなるまま

右往左往であくびして死ね

夢や希望や同情を乞うて果てろ

生まれた時から

何をしてきた

 

突き放すカケルに、怒りが沸いたが

その通りだった。

カケルから同情さればその場その時は満たされた。

だけど、立ち向かうのは自分だし、運命奴隷でしかなかった。

 

なんにもよ 出来ずによ

茫然とたって果てろしかばねめ

ああ無理を承知でまた

繰り返される

しかばねどものいいわけ

 

そんな打破できない愚痴をカケルにブツブツと延々と続けてもカケルも苦しいだけに違いなかった。

 

生まれたことを悔やんで

つらいつらいと

一生懸命同情乞うて果てろ

 

エレカシが私におしえてくれた。

 

愛されたいなら愛せる人間になるしかない

悔しさがあるから跳ね返る勇気があった。

 

 

母が避けるなら私から話しかければいい。

笑顔でおはようと、愛してるよと、

今日も働いてくれてありがとうと、

思ったことは全てつたえた。

妹にも弟にも無視されても話しかけた。

今日は空が曇っているから傘がいるかもしれないとか、育てていたハーブが育ってきたから肉を焼く特に使ってみようとか、家庭内の厳かな食卓でずっとひょうきんに過ごしていた。

 

誰も目を合わせないけど、同じ場にいてくれた。

それだけでもよかった。

入院してるおばあちゃんに食事の楽しい話をすることも出来た。

 

毎日続けた。

夏になる。何も変わらないけど、私は幾分か気が楽になった。

1ヶ月ぶりにカケルに連絡をする、

「カケルに怒られてからさ、家族に話しかけた、誰も反応しないけど、よく反応しないでいれるよな。まぁまず1歩だな、自分がうざったいくらいくい込むしかない。そのうち許してくれるさ。」

とへらへら笑いながら伝えた。

カケルは黙り込む。

急にカケルは泣き出す。

「ごめんな。俺何も出来なくて、お前に強い事言って。俺、お前と違うから、子供だし、お前を引き上げる力なんかなくて、ごめん、ごめん」

てもつけられないくらい泣き出した。

どうすればいいか分からず、私の事なんかで本気でなく青年をとてつもなく愛おしく思った。

私の部屋のドアに何か陶器をぶつけられる。

話し声がうるさかったようだった。

何も怖くなかった。

運命奴隷になんかならない。

「カケル、大丈夫。負けないし泣かないから。がんばる。いてくれるだけでいいんだ。お前の力が必要さ、自分を叱って力づけてくれ、それだけで生きてられる。へへ」

私は笑う。

カケルはまだグズグズと泣いていた。

強くありたいと強く願う彼だから、こんな姿は誰にも見せたくないはずだった。

泣き止むまで通話を繋いでいた。

カケルはぼそっと

「また明日」

と言って通話を切る。

カケルらしいなとおもった。

 

夏休みが始まった。

家族は海外旅行へ私は家でギターを弾いて

おばあちゃんの看病をした。

苦しいことなんかずっと続かない。

いつか好転する。させてやる。そう思った。