月に手を伸ばせ

アートとバイク。思ったことを何処かに残したい。

私とエレカシ#20

今でも覚えている
ライブ会場に入る前のあの緊張感。
とうとう、とうとうCD以外でエレカシにあえるのだ。

ぎゅっとカケルの手をにぎった。
カケルも手を握り返す
二人のまなざしはもうステージしか見ていなかった。

エレカシのメンバーがステージに来た。

 

 

ある日神を思った
ぼくは神を探していた
でもすぐ見えなくなった
ぼくは拍子抜けがした

はじめて生で聞いた曲は一万回目の旅の始まりだった。

薬物中毒まっただ中のとき、
なんでこうなってしまったんだろう、と聴きながら思った。
一気に音が私をあの時の自分に引き戻した。
全ての音がブラックホールのように。
渓谷の底に引き込まれるような冨永さんの轟くドラム。
そしてそこに挑戦していくような石森さんのギター。
宮本さんの眼光の鋭さは、その時のまさにどん底の目をしていた。

怖かった。寒気がした。

かつてのトモよあなたは灰色の海を越えたのか?

私にとってはきっと薬なのかと思いながら…
暗黒精神街まっしぐらな世界へ突入していく

一万回目の旅の始まり
一万回目の旅の始まり
ついに僕はおよぎはじめた・・・

エレカシとの始まりだった。


次の曲が始まった瞬間、私の世界は広がる。

 

 

何度目の太陽だ 何度目の月だ
伊達や酔狂じゃねぇ
パワー・イン・ザ・ワールド

もう私の全毛穴がびりびりと総毛立つ。
宮本さんの声が全部を包み込む。
冨永さんのドラムが激しく感情をあらわにする。
高緑さんのベースラインも呼応して軍靴のように唸る。
そこに稲妻のような石森さんのギター。

これは冗談じゃねえ 戦いの歌だ
枯れ果てた大地の一輪の花

戦慄が走る、もう呆然とする。
何も考えられない
全部エレカシになった。
こんなに、こんなに私を追い立てる気持ちが
紫色の歌声に、閃光のようなギター、
次々と私の視界を埋める。もう顔なんて見えない。
音を浴びる。

私の魂が生きろと叫んでいた。
宮本さんのパワー・イン・ザ・ワールドと共に、私はこぶしを握っていた。

武蔵坊弁慶は何百という矢を受けて意地でも立っていたらしいが

私はたった四人の音で、もう倒れそうだった。

精神暗黒街が爆発した。

これはエレファントカシマシと私との対決だった。

観客全員がそう思ってたんだと思う。
人生と戦うために
エレカシと戦うんだ。

宣戦布告された気分だった。
全てを目に収めようとしても、もう音で前が見えなかった。

音をすべて心にとどめよう。全てを受け取って戦ってやる。
そう思った。

全部使い尽くせ おのれの全部使い果たせ