月に手を伸ばせ

アートとバイク。思ったことを何処かに残したい。

私とエレカシ#19

文化祭の日。


軽音部のステージでは
何組かのバンドで3曲ずつ演奏し、人気投票をするというスタイルだった。
皆さまざまに青春のロックをしていた。
ゆず、ラルク モンゴル800、ポルノどれも一生懸命で素敵だった。

私達のバンドは文化祭に本気だった。

いや、どのバンドも本気なんだけれども、

その中でも常に異色で居続けたかった。常に音楽では最前線で居たかった。

キツネのバンドを抜けてから作曲を続けていたのに共感してくれて、見た目だけで音楽やらないで体の底から音楽したい、そういって結成したバンドだった。

途中で私が椎名林檎で盛りさがろうが一切の妥協をしてくれなかった熱い奴らだった。
このバンドはこの文化祭がラスト、学年が代わればメンバーは私とギター以外残らない。それを知っていたから、こちらとしても最後のバンドと思い気持ちを込めた。

一曲目は新しくボーカルをやってくれたギターがどうしても歌いたいと言ってきかなかったハイロウズ日曜日よりの使者
二曲目はバンドメンバーが全員大好きなタイマーズのデイドリームビリーバー
三曲目はもうみんなの意見は一緒だった。僕らが越えられない壁となってしまった、東京事変群青日和だった。


一曲目も二曲目ももともとやったことのある曲だったのでそこまで練習しなかったがそもそもスタイルも違い初めての椎名ナンバーでそりゃ昼夜を問わず練習をした。授業にも殆ど出ないで、キーボードの家で練習していたし、夜になれば全員自主練。
ボーカルである前にベースだったためそもそも演奏もしこたま練習したし、ギターがうるさくなりすぎない様にスコアもだいぶいじくった。

怒鳴りつけながら練習するのは久しぶりだった。

椎名林檎は強敵だった。が、私たちはステージでやりきったのだ。
曲が終わった後呆然と漠然と終わりを意識していた。人生の終わりをだった。
死にたいわけじゃなかったけれど、漠然と人生の終わりにこの景色を見たいと思った。
本気だったから見えた終わりだったのかもしれない。
頭を下げてステージ袖に引っ込むときバンド仲間と倒れ込んだ。

 

みんな泣いていた。


あの時は確かに生きていた、久々に生きる心地がした。

 

もちろん優勝していた。

 

バンドメンバーみんなで、ヒット曲なんてくそったれだって叫んでいた。

 

私は次の部長として挨拶をして、相方のギターと、二人でバンドを続けていこうと抱き合っていた。

 

このまま時間がとまってしまえばいいと思った。

 

カケルは演奏を聴く為にわざわざ片田舎までやって来てくれた。
カケルと久々に会えたのに、私はカケルに何も言えないくらいにしびれていた。

「音楽ってすげえよな、俺もお前のしびれる気持ちが伝わってきた」

 

そう、カケルは言った。

 

そうして文化祭は終わった。

 

帰り道、カケルが口ずさむ聴いたことない曲

「この歌さ、エレカシのライブで聞いたんだぜ、でも、

お前にぴったりな曲だよな。」

そう言って地元で開かれたエレカシのライブの話を嬉々として私にし始めた。

 

明日、人生で初めてエレカシに会える。

明日で良かった。

明日は人生で最高の日だ、もう死んでもいい。

 

日記には明日明日とかいて、隅っこにかいた

友達がいるのさ。

早く聴いてみたかった。

文化祭の興奮が冷めないままエレカシの歌をステージで演奏する自分の夢をみた。

 

同じステージで

宮本さんの歌を演奏できたらどんなに幸せだろう。

 

でかい人間になりたい。

会わなくてもわかる。

宮本さんはでかい男だと。

そして音楽を愛している人間だと。

 

これほど夜明けを待ちわびたことはなかった。