月に手を伸ばせ

アートとバイク。思ったことを何処かに残したい。

私とエレカシ#15

若い恋は短い。
打ち上げ花火の様だった。

たったの5か月。

ふられた理由はミカがバイセクシャル
実は結婚したい人がいて、同時並行で私と付き合っていたという、
そもそも遊ばれていただけという、まあ負け犬だよ笑ってくれよと言いたくなるようなものだった。

あの熱量を返せ、時間を返せと思ったが、それ以上ミカを嫌いにもなりたくなかった。

もう絶対恋なんかしねぇ。
ジェンダーだって、少しでも触れて来るやつがいたらなぎ倒す。


エレカシを聴きまくり、奴隷天国のアルバムを繰り返し聴き、
星の砂を口ずさんだりして、だんだんと自分の社会でのあり方を考えていた。

社会派の映画を見たり、本を読んだりして、
いつか映画監督になっていきたいと思った。
それからは映画をみて、ああでもないこうでもないと批評をしてみたり、
小説を読んでは映画にするプロットを書いてみたり、
映画音楽への見分を広げてみたり、アート暗黒街道まっしぐらだった。

CMに興味を持ちだしたのはもっと後だ。
とにかくビデオショップに通っては映画をみて、流れてる音楽を調べてはさらに見分を広め、の毎日だった。

その隙間にバイクがいて、不良集団のバイクを修理することで小金を稼いでいた。
アートには金がかかる。家計には手を付けられない。

今では分からないくらいの熱量で私は金を稼ぎ映画をみて、音楽を吸収する日々だった。

キツネのバンドではやっていけなかったから、部長と対立した。
そして新しいバンドで新しい音楽を始めることになった。
創る音楽も変拍子がおおくなり、周りが付いてこれなくなってきた。
完全に自分の世界観で音楽をつくり、
マスターベーションのようにいろんなところで演奏しまくった。
どう頑張ったって宮本さんみたいな発声は出来ないし、最近の時流にも乗りたくないし。
そもそもデッドの熱狂的なファンだったからか、
グレイトフルデッドに傾倒したバンドを日本語でやっていた。
しかも中原中也やアチュールランボーの詩に音楽を乗せて。


今でこそサブカル系なんてジャンルがあるがそんなもの地方都市の学生には浸透していなかった。
ただのやばい奴だった。
ハードコアのバンドの奴と付き合ったり、そもそも、スタジオに常にいるような人間は危ない以外の何者でもなかった。


カズキ君が婚約破棄した辺りから、カズキ君は普通に戻ったけれど、
私が薬を始めたんじゃないかと心配し始めた。
カズキ君に無理やり部屋にはいられ、片っ端から部屋を漁られ、
薬は何処に隠しているか聞かれた。
私を助けてくれたカズキ君からあらぬ疑いをかけられて、相当なショックをうけた。

「やってねーし、お前がそんなに疑うならやってやる。」
そういってカズキ君を部屋から追い出した。


まぁそんなこと言ったって逃げられるものなんて数が限られていて、
始めた薬は金パブだった。正気でいられるし、そもそも手に入りやすかった。
音楽を作る時もニコチンカフェインパブロンが手放せなくなった。
最初は反抗心からだったが、依存してしまうのは時間の問題だった。

学校にいてもずっとパブロンを飲むか、もうそこら辺の咳止め薬でも良くて、すっかりジャンキーだった。

飲んでる間はミカの胸で寝ているくらいの安心感があって、
優しくいられたが、一度落ちてしまうと、抜けられないくらい心が落ち込んだ。

どーせ誰もいない家族も誰も協力しちゃくれない、まるで悲劇のヒロイン気取りで生きていた。
驕っていたんだとおもう。

帰ってこない母の事を泣けたのも、父の事を助けて欲しいと言えたのも、その時だけだった。
あぁ、このままジャンキーとして死んでいくんだ。そうおもっていた。

そんなある日だった。
カケルから久しぶりに連絡がきた
「お前今どこにいるんだ?俺今小倉駅の近くのホテルにいるんだけど」
久々なのにあっけらかんとしたチャットに腹が立った。
「家にいる」
そもそもなんでそんなところにカケルがいるんだ…
「家、住所、教えろよ早く」
こいつ何考えてるんだ。そう思いながら住所を教えた。
「わかった、家にいろよ」
そういってチャットからログアウトした。
上もぼさぼさで、何なら薬漬けの状態で、カケル何かと会えるわけない。
なのに住所を教えてしまった。

1時間もせず家のチャイムが鳴る。モニターを見るときっとカズキであろう人物がヘルメットを小脇にやってきた。

バイクの免許を取ったら会いに行く。

その約束をちゃんと守って彼は会いに来たのだ。
「おーいーでてこいよー、やっほー」
気楽なもんだ、玄関の前で彼はぴょんぴょん飛んでいた。

「出たくない、ごめん」
そういってインターホンを切ろうとしたが、丁度妹が帰ってきた
「おねーちゃーん、ピザ屋さんがおうちの前にいてはねてるし、じゃまー」
そういって扉を開けてしまった
「あ、」
私は随分間抜けな声を出してしまったと思う。
「え?」
カケルもずいぶん変な声をだしていた。
「お、女の子だったの!?」
そういって私の肩を揺さぶった。薬が抜けて来て頭がガンガンする。
「やめて、やめてくれ頭が痛い。」
そういうのが精いっぱいだったが、
「イヤー会いたかったぞ!すごく会いたかった!もうお前が男でも女でもいいやすごく、会いたかった」
そういって強く抱きしめられる。
体中が痛かった。
「そ、外で、話そう」
そういってカケルを外に連れて行くのが精いっぱいだった。
太陽が刺さる。もう何日も家から出ていなかった。

あぁ、今日は日曜日か・・・

 

日曜日 (調子はどうだ)

日曜日 (調子はどうだ)

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エレカシの歌詞のようにそんな言葉が付いて出た。