月に手を伸ばせ

アートとバイク。思ったことを何処かに残したい。

私とエレカシ#14

2004年の私は荒れていた。

まず最初におばあちゃんが入院したことだ。

ませた妹の反抗期が激しくなり地味にいらいらしたのかもしれない。
あるいは弟が落ち着きがなくて毎日幼稚園の先生から苦情の電話が来てたかもしれなかった。

父の恒常的且つ発作的な暴力がもういい加減いやになってきたのかもしれない。

 

学級の編成が変わってからは教室にいづらくなった。
授業にもほとんど出ない、たまに出席すれば授業を聞かずに寝てばかりいる。
教師に教室の外に追い出されるなんて日常茶飯事だった。

 

部活も最悪だった。

作曲できてものせる歌詞が無い。

どう頑張っても椎名林檎もどきになってしまう歌い方と
中二病のような歌詞が私のフラストレーションを大きくした。

 


カケルも彼女の束縛が激しいとか何とかでそんなに連絡を取らなくなっていった。

カズキ君は結婚式に向けてバイクを下りるかどうかで彼女とうまくいかなくなってきて機嫌がすこぶる悪かったので近づけなかった。

 

全てが上手くいかない時期だった。


全ての人が空洞で虚無に感じていた。
つるんでる横にいるダチも、家族も、テレビのニュースも。
掃いて捨てるような人生、掃いて捨てるような関係、何か思っても行動を起こせることが少なかった。

あやつり人形は 怒りを知らない
何が起きても 怒りを知らない

ふだんの暮らしにゃ関係ないが
悪いヤツラは裏でニヤニヤ
それを知ってて 手も付けられず
yeah ゴクロウサン

 

私の心のよるべ、同調してく

 

ゴクロウサン

ゴクロウサン

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れたのはエレカシだけだった。
誰に話してもお前は理屈をこねまわして現状に文句言ってるだけだって叱られてばかりだった。
集団の同調、私を不幸だと決めつける周りの大人、性別に対しての偏見、不良と優等生の狭間、
バカみたいだ、人を勝手に奇特だと決めつける人たちが、大嫌いだった。

そんなこと理解してくれる人間(もちろんカケルいがいで)見たことが無かった。

求めてる人間以外、誰にもよってきてほしくなかった。

学校にも行かず、喫茶店にこもって、たばこを吸って、曲を書きながら、少しだけさみしさを感じていた。


何もかもくそくらえだ。こんな嘘だらけの世界。
エレカシを聞き、そしてギターを抱えて曲を作る時以外は、私は死んでいた。

 

それからすぐだった。
彼女が出来たのは。


いつも行く喫茶店で、コーヒーを飲んでいたら
「まだ成人してないでしょ。タバコはダメ」
とタバコを取り上げてきた女だった。
事あるごとに突っかかってきて、たまに読んでる本の解釈を聞いてきたりする子だった。
本が好きなんだと言っていた。
「あなた、女の子なの?それとも私と同じ種類の女の子?」
説明してもよく分かってもらえなかったけれど
「じゃあ、とりあえず恋愛対象ってことね」
と悪戯に笑いかけてきた。

恋が始まるともう
世界の全ての色が変わるんだ
音楽も盛大になる
嬉しさも苦しさも
全部大袈裟になる
それだけ心を震わせるなんて
恋はうるさいし楽しい

そう思ったのは彼女に出会ったからだった。
なんだか頭でもやもや考えていた恒久的な疎外感が一気に消えた。

「俺は、ミカより年も下だし、なにも出来ないかもしれない。でも、ミカが他の奴の為に悲しい顔したり、つらいおもいをするのは見たくない。そばにいて欲しい」

彼女に伝えるまでにそう時間はかからなかった。
ミカは二つ返事で私の恋人になった。

恋をするだけで何もかもが変わる。
腑抜けになるのとは少し違うが、おおらかになる。

基本的な部分は私は大馬鹿野郎なんだと思う。
大げさな恋の歌をミカの家の近所の公園で歌い、叱られたり、歯の浮くようなセリフを彼女にぶつけて困らせたり。
もうそのことだけに一生懸命になっていた。

ミカといる時間だけは生きていられた。
家の事も、友人の事も、学校の事も彼女は何も言わなかった。
ただ、二人でいて、空間が温度が体温が、すべての私を満たしてくれた。

頭コチコチのまま生きてると
そのうちどっかが こわれてしまうよ
かあさんの胸の赤んぼを見なよ
お前とどっかが ちがってるはずさ

 

てって

てって

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こそこそと付き合わなきゃいけない事だけが、
私の中のストレスで後は何もなかった。

邪推を始めると いつも宮本さんがいいから甘えてこいって言ってくれているようで、
恋を精一杯楽しむことにした。