月に手を伸ばせ

アートとバイク。思ったことを何処かに残したい。

私とエレカシ#19

文化祭の日。 軽音部のステージでは何組かのバンドで3曲ずつ演奏し、人気投票をするというスタイルだった。皆さまざまに青春のロックをしていた。ゆず、ラルク モンゴル800、ポルノどれも一生懸命で素敵だった。 私達のバンドは文化祭に本気だった。 いや、…

私とエレカシ#18

バンドへの頑なな欲求もすっかり冷めて、 前ほど尖らなくなっていた。 理由の一つは椎名林檎だった。あんな音楽聞かされて自信なくさない人間いるのかってくらい負けを感じた。だって、群青日和の音、オープニングからギター一本に彼女の声、そして展開して…

私とエレカシ#17

あの一週間は絶対に忘れない。 一日目 祖父母に1週間家をあけるという話をした。 散々文句を言われたが妹と弟を預けた。 カケルはカズキ君と一緒に車で私を迎えに来た。「カズキさんには全部話しておいた。だから大丈夫だよ」 カケルは私の背中を擦りながら…

私とエレカシ#16

「お前白いなー、や俺も紅顔の美少年だから人の事は言えないけど、パッとみ男だなこりゃ」とかなんとか身振り手振りで話しまくる。「わざわざ来てくれて、ありがとう」 そういうのが精いっぱいだった。 そのあとも騒いでいたが、突然 急に真面目な声色で「お…

私とエレカシ#15

若い恋は短い。打ち上げ花火の様だった。 たったの5か月。 ふられた理由はミカがバイセクシャルで実は結婚したい人がいて、同時並行で私と付き合っていたという、そもそも遊ばれていただけという、まあ負け犬だよ笑ってくれよと言いたくなるようなものだった…

私とエレカシ#14

2004年の私は荒れていた。 まず最初におばあちゃんが入院したことだ。 ませた妹の反抗期が激しくなり地味にいらいらしたのかもしれない。あるいは弟が落ち着きがなくて毎日幼稚園の先生から苦情の電話が来てたかもしれなかった。 父の恒常的且つ発作的な暴力…

私とエレカシ#13

秋も終わりが近くなると、中3の先輩たちはみんな引退していった。 私とキツネは相変わらずギター教室をやっていたし、一緒に曲を作っていた。 変わらないものは何もない。 軽音楽部の部長は、ドラムに代わった。 軽音部内でもボーカルだった部長が抜けてから…

私とエレカシ#12

私はキツネと距離をおこうと務めた。 解らなかった。確かに身体は女かもしれない、 だけど私は女じゃなかった。 体育の時、どうしても他の子と一緒にいれなかったし。 他の子は声が変わっても、自分の声が高いままなのが嫌だった。 心奪われるのは女性で い…

私とエレカシ#11

カケルに2人目の恋人ができ、 カズキ君がプロポーズに成功し婚約した頃、 恋とか愛とかについて考えるようになった。 中庭でぷらぷらしていたら、金髪の背の高いキツネみたいな顔をした先輩がギター片手に走り寄ってきた。「弾いてみろ」彼は私にギターを押…

私とエレカシ#10

中学入学と同時に、制服をきちんとワードローブに仕舞い込んで。指定のジャージに真っ青に髪を染めて、ピアスと大量のブレスレットを付けて登校し始めた。小学生の校区は、いわゆる新興住宅地で豊かな家庭が多い校区だったが、中学の校区は、そこに合わせて…

私とエレカシ#09

カケルとの会話はいつもきまってカケルから始まった。カケルは音声で話すので私はそれにチャットで答えていた。本当に気が良くあっていた。バイクへの想いも、見る映画も、読む本も、たまに古臭い事をいうやつで、私の周りにはそんな友人はいなかった。 ギタ…

私とエレカシ#08

バイクに乗りたいと思ったのはトップガンを見てからだった。 はっきりと乗りたいバイクまで決まったのはそれよりももっと後、原田さんの小説を読んでからだった。 12歳の誕生日が過ぎる事にはもうバイクに夢中だった。 寝ても覚めてもバイクバイクバイクバイ…

私とエレカシ#07

かわいい孫へあなたは私を恨んでいるかしら。悲しい目でずっと私を見ていたわね。あなたは私の光。愛していないわけないじゃない。そういってもひどい事を言ったのは私ね。ダメなおばあちゃんでごめんね。あなたのお母さんがあなたを産んでから私の人生は本…

私とエレカシ#06

ピアノ騒動のあと、 母は私が怖いと目も合わせてくれなくなった 家にいても無視される 学校に久しぶりに行っても 政治的な陰謀か何かのように 私の存在を無視した ある日、おばあちゃんに連れられてマスターと車でお出かけをした。 白い大きな病院で いろん…

私とエレカシ#05

父母と暮らすのは楽ではなかった。 母が目覚める前に支度をして 父が帰ってくる前に眠ってしまわなければならなかった。 急に習い事が増えた。 知能テストを受けさせられては伸ばす必要がある。英語教室に行けば耳を育てて新時代を生き抜く必要がある。ピア…

私とエレカシ#04

1997年の4月某日に、私は小学校へ入った。 同級生、先生、近所の人、道行く野良猫。全てが私を飲み込んだ。ディズニーの白雪姫が森の中で逃げ惑うシーンがあるが、まさにそれだった。 何がドキドキの1年生だ。 心臓に悪い・・・。 そう思っていた。 叫び声、…

私とエレカシ#03

変わらないものなんてないと知ったのは 龍おじちゃんが、居なくなってすぐあとおばあちゃんが倒れたからだった。 透析治療って血を濾過して一旦身体の血を総入れ替えすること、井の頭の水抜きを週に3回もするのと同じだ。おばあちゃんは年老いてしまった。 …

私とエレカシ#02

幼稚園に行きはしていたが、カトリック系の幼稚園、神様といわれる人が私たちを守ってくれて、おとうさんお母さんありがとうなんていってる自分が馬鹿らしくて仕方なかった。だって父母は私の生活の中にはおらずお昼のお遊びの時間のころには、私は幼稚園を…

私とエレカシ#01

小さな頃、父母は働いていたので一緒には暮らせなかった。そのため、小倉の歓楽街に住んでいたおばあちゃんと一緒に暮らすことになった。おばあちゃんは昼間クリーニング屋さんの工場で働いていて、夜はうどん屋さんで働いていた。だから私は昼間は保育園、…