月に手を伸ばせ

アートとバイク。思ったことを何処かに残したい。

エレカシ

私とエレカシ#41

朝が来て昨夜のカケルは嘘ではないんだと思った。 まだカケルは寝ていた。ぼさぼさの髪をなでながらコーヒーを淹れる。 ごそごそと起きてきたカケルが私の顔をみてほっとしていた。後ろから強く抱きしめてくる。「お前が死んじまう夢をみた。」そういって泣…

私とエレカシ#39

穏やかな時間はあっという間だった。誰とも深くはつながらなかったが、自分を見つめるいい機会になった。誰もいないとはこういうことだと、学んだ。雨が降っても誰かが洗濯物を入れてくれるわけではない。部屋を放置していれば勝手に汚れていく。深い海に潜…

私とエレカシ#38

私は自分の性認識がどちらか分からなかった。男性の様になりたいとも思わなかったし、女性の様になりたいとも思わなかった。 性を認知させる行動が嫌いだった。たとえばスカートを着る事もそうだった。肌を露出させる事も苦手だった。髪を伸ばすのも苦手だっ…

私とエレカシ#37

凛と出会ったのは、附属の大学の博物館だった。 私は大嫌いな生物の授業を避けて、無音の場所を求めて高校から抜け出た。勝手に耳に入ってくる音がうるさくて、人といるとその人に対しての感情すら音になってしまった。とりあえず共感覚という言葉を、カナダ…

私とエレカシ#36

4時になると目を覚ます。 とりあえずタバコを吸いながらコーヒーを淹れる。 600mlのコーヒーをゆっくり淹れながら目を覚ます。 タイマーセットした洗濯物を天気を確認して干す。 いつもきまってTHE YELLOW MONKEYの楽園を歌いながら。 シャワーを浴びて、髪…

私とエレカシ#35

今をかきならせツアーを見に行ったあと、エレカシを聴くといつもの500倍くらいのパワーで頑張りはじめた。毎日繰り返す、短編の作成、公募に応募、映像作品の大会にも取り組んでいた。学校の軽音部にもすぐに誘われた。まぁとにかく何でもやろうって気持ちと…

私とエレカシ#34

あれから一度も居酒屋にはいかなかった。たった1か月だった、とても長い1か月。一度だけ警察に行きカウンセラーのT先生からもう関わることはないよと言われた。 T先生は、君は声がきれいだからと電話の仕事を紹介してくれた。自分ではそう思わなかったけど…

私とエレカシ#33

学校では異質を極めていた。少しでも人がそばに来たら叫ぶ。触られたら殴りかかる。そんな奴だった。 スクールカウンセラーはそんな私を放っておいてはくれなかった。向き合って話をしようと一生懸命にいう。それがそいつの仕事だった。 共感覚自体もかなり…

私とエレカシ#32

「何でうちで働きたいと思ったの?」禿げ上がった頭をなぜてにこにこ笑いながら私をみる。「自分は、高校のお金とか、生活費とか、、自給高かったし、高校生でもいいって書いてあったので。応募しました。」私は自分の腕をギュッとつかみながら、その禿おや…

私とエレカシ#31

高校に入るまでのあいだ、色々な申請のおかげでほとんどの時間を外で過ごした。自分が世間知らずだと知ったのは一人暮らしを始めたからだった。一人だと電気の契約すらうまいこと出来ないし、事前にそんなものが必要だなんて知らなかった。 生活に何が必要な…

私とエレカシ#30

「序曲」夢のちまた エレファントカシマシ ロック ¥250 provided courtesy of iTunes 世を上げて 春の景色を語るとき暗き自部屋の机上にて 暗くなるまで過ごし行きただ漠然と思い行いく春もある 卒業式の日に初めて袖を通した制服は私をあざ笑うかのように晴…

私とエレカシ#29

サクラサク 合格通知が来たのはぼろぼろの精神状態で受けた受験校だった。 学費の免除も通過し、ほどなく入学の手続きを受け始めた。 マーシーとカズキ君に頼んで引越の準備を探した。 おばあちゃんと過ごした小倉の家は取り壊されることになっていた。 私の…

私とエレカシ#28

家にいると、何かにつけて母が私を呼び出してきた。家の手伝いもしないでと怒鳴りつけてきたり、わざと何か要件を言いつけてきたり、とにかく受験勉強の邪魔をするので、結局夜中しか勉強が出来なかった。マーシーのお母さんは学校の先生で真剣に相談に乗っ…

私とエレカシ#27

秋にはバンドの演奏と、演劇部に書いた脚本の打ち合わせ、あとは放送委員の進行の準備でてんてこ舞いだった。 カケルも今年は生徒会をやっていてなかなか話ができないし、カズキくんも前の彼女と寄りを戻して忙しそうだった。 忙しい方が何かと気楽なのは、…

私とエレカシ #26

社会人から学生バンドまでが出られる夏祭りの大会は、オーディションから本番まで課題曲と自由曲 で競い合う。本番で歌えるのはたったの5組、私たちは絶対に勝てると確信していた。現メンバーが夏前に居なくなったのでドラムは元部長に頼んで入ってもらった…

私とエレカシ#25

夏になった。何度目かの恋人何度目かの別れ、ほとほと恋に疲れてしまった。思春期の同性愛なんて、興味本位ばかりだった。ずっと同性愛者なんだと思っていたので、どーせ周りに本物なんていないと落ち込んでしまった部分もあった。学校の中庭、私たちの練習…

私とエレカシ#24

母がふらっと自宅に帰還した。 妹は泣いて喜び、弟も喜んでいた。 離れていても、円になる特性を持った集合体のようで、家族ってこんなものかとおもった。 母は、私だけを無視した。 家族で出かける中私は入っていなかった。 妹の学校の準備も 弟の幼稚園の…

私とエレカシ#23

ああ俺には何か足りないと 何が足りぬやらこの俺には 弱き人のその肩に やさしき言葉もかけられず 人を思ううちが花よと わずかに己れをなぐさめた 偶成 エレファントカシマシ ロック ¥250 provided courtesy of iTunes 漠然と教室にいる同級生を見やる。耳…

私とエレカシ#22

文化祭の帰りの日カケルが口ずさんだ 友達がいるのさ初めてこの歌を聴いた。 バンドの一体感と優しい演奏、 私のバンド仲間を思い出した。 友達がいるのさ エレファントカシマシ ロック ¥250 provided courtesy of iTunes 俺はまた出かけよう あいつらがいる…

私とエレカシ#21

生命賛歌 エレファントカシマシ ロック ¥250 provided courtesy of iTunes そいつは立ってた そして突然現れた オマエハナンダ? ココハドコダ?吃驚したぜ。 そういって急に始まった生命賛歌。 風が吹いてた 荒野の感じがした におい立つ 真夏の草の果てに…

私とエレカシ#20

今でも覚えているライブ会場に入る前のあの緊張感。とうとう、とうとうCD以外でエレカシにあえるのだ。 ぎゅっとカケルの手をにぎった。カケルも手を握り返す二人のまなざしはもうステージしか見ていなかった。 エレカシのメンバーがステージに来た。 一万回…

私とエレカシ#19

文化祭の日。 軽音部のステージでは何組かのバンドで3曲ずつ演奏し、人気投票をするというスタイルだった。皆さまざまに青春のロックをしていた。ゆず、ラルク モンゴル800、ポルノどれも一生懸命で素敵だった。 私達のバンドは文化祭に本気だった。 いや、…

私とエレカシ#18

バンドへの頑なな欲求もすっかり冷めて、 前ほど尖らなくなっていた。 理由の一つは椎名林檎だった。あんな音楽聞かされて自信なくさない人間いるのかってくらい負けを感じた。だって、群青日和の音、オープニングからギター一本に彼女の声、そして展開して…

私とエレカシ#17

あの一週間は絶対に忘れない。 一日目 祖父母に1週間家をあけるという話をした。 散々文句を言われたが妹と弟を預けた。 カケルはカズキ君と一緒に車で私を迎えに来た。「カズキさんには全部話しておいた。だから大丈夫だよ」 カケルは私の背中を擦りながら…

私とエレカシ#16

「お前白いなー、や俺も紅顔の美少年だから人の事は言えないけど、パッとみ男だなこりゃ」とかなんとか身振り手振りで話しまくる。「わざわざ来てくれて、ありがとう」 そういうのが精いっぱいだった。 そのあとも騒いでいたが、突然 急に真面目な声色で「お…

私とエレカシ#15

若い恋は短い。打ち上げ花火の様だった。 たったの5か月。 ふられた理由はミカがバイセクシャルで実は結婚したい人がいて、同時並行で私と付き合っていたという、そもそも遊ばれていただけという、まあ負け犬だよ笑ってくれよと言いたくなるようなものだった…

私とエレカシ#14

2004年の私は荒れていた。 まず最初におばあちゃんが入院したことだ。 ませた妹の反抗期が激しくなり地味にいらいらしたのかもしれない。あるいは弟が落ち着きがなくて毎日幼稚園の先生から苦情の電話が来てたかもしれなかった。 父の恒常的且つ発作的な暴力…

私とエレカシ#13

秋も終わりが近くなると、中3の先輩たちはみんな引退していった。 私とキツネは相変わらずギター教室をやっていたし、一緒に曲を作っていた。 変わらないものは何もない。 軽音楽部の部長は、ドラムに代わった。 軽音部内でもボーカルだった部長が抜けてから…

私とエレカシ#12

私はキツネと距離をおこうと務めた。 解らなかった。確かに身体は女かもしれない、 だけど私は女じゃなかった。 体育の時、どうしても他の子と一緒にいれなかったし。 他の子は声が変わっても、自分の声が高いままなのが嫌だった。 心奪われるのは女性で い…

私とエレカシ#11

カケルに2人目の恋人ができ、 カズキ君がプロポーズに成功し婚約した頃、 恋とか愛とかについて考えるようになった。 中庭でぷらぷらしていたら、金髪の背の高いキツネみたいな顔をした先輩がギター片手に走り寄ってきた。「弾いてみろ」彼は私にギターを押…